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Vida Cafetera オーナー上田俊之さん

ロースターになられた経緯について教えていただけないでしょうか。

僕はロースターになりたかった訳ではなくて、コーヒーのブランドをつくりたかったんです。ここ数年は増えてきたという印象なのですが、10年前くらいはブランドを意識したコーヒー屋さんなどほとんどありませんでした。
あるのは街の珈琲屋さんか大手チェーンで、街の珈琲屋さんも品質を追求して作り手の想いやコンセプトをしっかりと伝えきれているところが少なかった気がします。そんな状況を見ていて、お客さんにいいものを買ったなと思ってもらえるような品質とそれにふさわしい世界観を提供したいと考えるようになりました。
最初は他のロースターの豆を買ってきて、ブランディングをした上で売るというアイデアもあったのですが、勉強をすすめて突き詰めていくと、自分で焼くところからやらないと品質の全てを管理して提供するのは難しいと感じるようになりました。
また、リソースの量が決まっていて何から何まではできないので、カフェとしていろいろなことをやるのではなく、豆だけに集中して品質を突き詰めていこうということで、今のような(焙煎中心の)形になりました。

ブランドという意味では、お店のインテリアやパッケージデザイン、上田さんの店舗での衣装も特徴がありますね。

産地を感じられるお店があまりありませんでしたし、そういう部分は今でも変わっていないと感じています。コーヒーの豆は中米やアフリカといった、発展途上国でつくられることがほとんどなのですが、日本だと西海岸をイメージさせられるようなおしゃれなところが多いですよね。
店の内装に中南米の意匠を取り入れてみたり、店内でアフリカやラテンの音楽を流すことで、店舗の雰囲気も含めてコーヒーがどんなところで生まれてくるのかを感じてもらいたいと思ってやっています。
お店が今年で4年目にはいって、キャッチフレーズとして「Beyond the waves」というものを掲げています。お店は宝探し(=コーヒー探し)といったことをテーマにやっているので、大海原に波を超えて出ていこうという意味合いと、最近よくいわれるコーヒーの「○○ウェーブ」というものを乗り超えて、味と品質によりフォーカスしてやっていきましょうという意味が含まれています。

豆の選び方に関してのこだわりを教えていただけますか?

産地という意味では、好きなのはコーヒー先進国である中米です。20年もの時間をかけて品種改良をする計画性や、技術向上や伝承に国をあげて努めるなど非常に高い技術力を持っています。そのため他の産地の豆が持っていないような甘みや、旨味がある豆が多い。今回ご提供しようと思っている豆は、個人的にトレジャークロップスと呼んでいるものに限定しているのですが、それらは特に豆の特徴が際立っているものです。浅煎りなのに、ボディーが強くて深煎りかと思わせるようなものだったり、お客さんにだすと「砂糖いれた?」って聞かれるくらい甘みの豊かなものもあります。

ローストの特徴についても教えてください。

同じ焙煎度合いでも豆によってロースト時間が最大7分くらい違う時もあります。他のロースターの方と話をしたり、ローストのプロファイルを見ていると、焼き方って皆さん結構似ている印象なのですが、合理的に導き出された推論に基づいてプロファイルが決まって、そこに結果が伴っていれば焼き方はもっと自由でいいと考えています。
僕が焙煎に使っている機械は熱風式です。直火又は半熱風のものは鉄板を熱して豆を焙煎するのですが、熱風式のものは文字通り熱風で焼くことになるので、囲んでいるドラムよりも豆の方が温度が高いという状態になります。つまり、ドラムに触れた部分で豆が焦げることが少ないので、比較的マイルドな味わいで、苦みが少ない仕上がりになります。苦みを抑えられるとより甘みがたってくるので、そのへんは僕の目指す方向性を実現してくれる焼き方かもしれません。
僕のスタンスは、甘みと酸味を中心とした味の組み立てです。でも、バランスは忘れずに酸っぱすぎないようにはしています。一方で酸味が全くなくなってしまうと味わいも薄くなってしまうので、酸味がほんのりと感じられるようにして、甘さが際立つような焼き方を意識しています。

上田さんにとってのコーヒーってなんでしょうか?

改めて聞かれると難しいですが、やっぱり人生の「依り代」になっていると思います。僕には飲食業やサービス業をやっているという意識は全くありません。僕の中にあるのは「ものづくり」です。工房で絵を描くアーティストや、鞄をつくる職人と同じような気持ちでいるのかなと思っています。
コーヒーは自分の考える世界を表現するための、凄く奥行きのあるものなので、味を表現したら、それにふさわしい世界観も表現したい。ただ豆を焼くだけという行為ですが、こんなにいろんな味がつくれて、パッケージからウェブサイトまで表現の場所になる。全部が一つの世界を表現できるものなので、やりがいのある人生の「依り代」です。
まだまだやれていないことがいっぱいある。ありすぎて困っています。笑

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