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TRUNK COFFEE オーナー鈴木康夫さん

ロースターになられた経緯について教えていただけないでしょうか。

自分のつくりたい味をつくって飲んでもらいたいということが原点ですね。や はりバリスタをしていると、どんどん上流にいきますよね。多分ヨーロッパとか北欧でも、そうだと思います。ロースターに行って、農園で豆を育てているところまで行って、細部に関わりたいっていう気持ちは、誰でも味づくりに関わる者としてはみんな持っているものだと思います、どれか一つ抜けてもだめじゃないですか。

ロースターとしてのこだわりを教えていただけないでしょうか。

手を抜かないということ。
どこも手を抜けない仕事なので、当たり前に向上心を持って、よりいいものをつくるということは、議論する以前の問題で義務だと思ってやっています。コーヒーをやる人間として他とは違うこだわりというか考え方というのは、名古屋というこのマーケットでまだまだ美味しいコーヒーがないところで、どれだけ多くの方にまずは知ってもらうかということが大切なんです。かつ、それをいいと思ってもらう。そのための活動は多分どこよりもしていると思っているし、常に意識はしています。

結果としていろいろなことをやっています。例えばワークショップを年間5~60回したり、いろんなイベントに出店したりとか、他がつくっていないものをつくっていたりします。ただ、名古屋のコーヒー文化に対する手応えはまだまだないですね。実際にバリスタって誰でも言おうと思えば言えるのですが、コーヒーって小学生でも中学生でも淹れられて、見た目は全部一緒ですよね。ただ、中身は全然違います。ケーキや料理だったら盛りつけが違ったりすることで全然違うのですが、コーヒーって見た目は同じなんです。それを伝えていく、つくりだしていける人間がまだまだ少ないのですよね。今はある意味コーヒーブームなので、ファッションだけのお店がどんどん増えていって、実際に美味しいもの、意味のあるものが伝わるスポットが増えているかというとそうでもない。それが正解だと、文化だと思ってしまう部分はあるので、本当にこのマーケットは難しいですね。本当に大変です。苦笑

今後名古屋以外でもお店をだすことは検討されているのですか?

まずは名古屋ですね。幸福度の高い街、例えばデンマークのコペンハーゲン、ノルウェーのオスロ、カナダのバンクーバー、オーストラリアのメルボルン。そういう街には美味しいコーヒーが、コーヒー文化があります。自分が住んでいる街が住みやすい街になったりだとか、本当に美味しいコーヒーが飲める街にするのが先決かなと考えています。もちろん事業展開も考えていますし、他店舗も出していくことは考えているのですが、まずは名古屋に店舗を出したということの意味をしっかりと考えていきたいと思っています。

豆の選び方に関してのこだわりを教えていただけますか?

単純に自分たちが美味しいと思って、飲みたいと思うものしか出さないですね。ラインアップが減ろうと、無理して仕入れない。いいと思ったものしか選ばないということがポイントです。ただ農園に行けばいいというわけではないじゃないですか。なので、農園に行っていい豆を買ってくる方もいるわけですが、みんながみんなそうではなくて、ただ行きましたっていうだけならば、行かない方がいいという考え方ですね。なので、本当に自分たちがいいと思ったものだけをだす。あと、マーケットに合わせるつもりはないですね。やはり自分たちが美味しいと思うものをエデュケートしていく、それが美味しいものだって伝えることが大切だと思うので、喫茶店の味に合わせるつもりもないですし、名古屋の(消費者の)好みに合わせるつもりも一切ないですし、プロとして自分たちが自信を持ったものを選んで、焙煎・抽出まで持っていく。そしてそれが美味しいということを伝えていくということに対して価値を感じていただけるようにしていきたいと考えています。

ローストの特徴についても教えてください。

ほぼほぼ他の皆さんも同じかと思うのですが、豆の持ち味、品質をどこまで活かせるかという焙煎をしています。若干他と違うなっていうところは、東京と違って名古屋は日本一軟水なんですね。焙煎ってその土地の水に合わせた焙煎を自然としているんですよ。軟水って味が出やすいので、酸質がすごく表に出やすい。浅煎りにすると酸質がすごい特徴的になってくるのですが、酸って甘さが乗っかってこないと美味しく感じないんですよ。ただの酸っぱいになってしまう。その酸が出やすい水で焙煎するので、甘さをしっかりと持たせる焙煎っていうのが重要になってくるので、そこがポイントになってきます。一方で、他の地域で抽出をされる際に面白いのが、紅茶の場合、この茶葉には硬水でなければだめというのがあるけれど、コーヒーはその土地の水に合わせて挽き目、温度、抽出時間や蒸らす時間といったレシピを変えることによって、その水のベストをつくることができるんです。そこがコーヒーの面白いところですね。

鈴木さんにとってのコーヒーってなんでしょうか?

私が考えているのは、人と人とをつなげてくれるものだと思っています。どの立ち位置でもそうですね。まずコーヒーをやっているバリスタだったりロースターが、その職業でプロフェッショナルとしてやっていれば、どこの国に行ってもその国のプロフェッショナルとつながれる。なおかつカフェでコーヒーをつくるとき、日本だとグループ毎に空間がある。うちのお店を見ていただくと面白いと思うのですが、ここはお店が一つの空間で、お客様同士もつながるべきだという考え方でこの配置にしています。欧米に行くと、知らない人でもカフェで会話が始まったりするじゃないですか。そうあるべきだなと思っています。たとえ小さなものでも、友達になるだけでも一つの関係が生まれるわけで、そういった一つのきっかけになるような場所に美味しいコーヒーがある。コンビニのコーヒーを介した出会いと、情熱を込めてつくられた美味しいコーヒーのカップを介した出会いとでは、出会いの質というか精度が違うと思うんです。実際に自分もコーヒーを通じて、このインタビューもそうだし、いろいろな人と知り合うことができた。そういう意味でも本当に生活になくてはならないものだと思っています。

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