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Glitch Coffee & Roasters オーナー鈴木清和さん

ロースターになられた経緯を教えて下さい。

一番最初に日本チャンピオンのお店にいたのですが、そこでバリスタになって、そのころはイタリアの豆を使っていました。illyとか。バリスタとしてコーヒーを提供しているうちに、輸入されてくる豆がどうやって生産されて、焙煎がどうなっているとかいうことに、興味を持ち、Kaldeeとか、いろいろなところの焙煎をしている工場に行くようになりました。カフェにいながら焙煎工場にたまにいくみたいな。そこで焙煎について教えてもらいました。
その後、ポールバセットにオープニングスタッフとしてはいって、世界チャンピオンのポールから直々に焙煎とバリスタのテクニックを教わりました。
ポールのオーストラリアのスタイルとかをいろいろと教わったときに、日本の焙煎との違いとか、「あ、ここまでやっていいのか」と、世界共通のルールってあまりないんだっていうことを知りました。この時間で焼くとか、この位の焼き加減で焼くとか、最初は彼のイメージするコーヒーを作るために、ポール独自のルールから外れずにやっていたのですが、
自分のイメージするコーヒーとの違いに気づく部分があった。やっていくうちに結局、自分のつくりたいコーヒーっていうものがでてくるんですね。そこから独立して自分の味を作ろうと思うようになりました。

ロースターとしてのこだわりについて教えてください。

産地別の個性でしょうね。ケニアだったらトマト、エチオピアならベリー系といった基本的な味があるのですが、更に言えばそれぞれの農園の土でしかできない味があります。その個性をどれだけダイレクトに伝えるかということを考えていますね。
焙煎で豆を焦がして苦さをつくって、日本の消費者向けにつくるというよりは、自分たちが本当にやっていきたい産地の表現ができるような焙煎をしています。 この前も農園に行ってきたのですが、やっぱりつながるものがあるんですね。いろいろな豆をカッピングして、これが美味しいとなったときに、産地で生産者がいろいろなアイディアを出し合って、丹誠込めてつくったものが味になっていたりする。ナチュラルとかだと、普通に地面の上で天日干ししているものではなくて、テントの中で天日干しして温度管理をしているところとかが、口にしたときにすごくエレガントだったり、華やかだったりする。そういった特色を消費者の方々に伝えたいと思っています。

ロースト自体のこだわりについても教えてください。

まず、オフフレーバーがないということですね。苦いとか、ピーナッツみたいな香りがするとか、マイナスなテイストをできるだけ消したいと思っています。うちのコーヒーってすごく浅煎りなんですよね。他のロースターと比べても浅煎りだと思います。ちょっと苦みのテイストやロースト臭というのがあるとコーヒー感というものはでるのかもしれないですが、実際に細かく考えてみたらオフフレーバーになる要素があると思います。それを全部無くしていくと、今の自分のローストになっていく。
スタッフもちょっと苦いだけでもどんどん言ってくる。もちろん浅すぎる場合もそうですが、スモーキーっていう言葉にすごく敏感だったりする。ポールバセットでずっと育ってきたスタッフなので、ちょっとしたオフフレーバーにすごく敏感ですね。その辺を考えるとどんどん浅煎りになっていく。
あとは、斬新な焙煎をしたいですね。みんなが目指す焙煎って、海外のオーストラリアとか、ノルウェーとかいろいろな国の焙煎なのかもしれないですが、日本は実はレベルがすごく高いので、海外から来る人もいるし、ONIBUSもFuglenもどこも美味しいと思うんですよ。でも、海外のまねごとをしていても先に進まないということは、みんなでシェアしていてわかっているので、それよりも自分ができる焙煎について考えていますね。
日本発信ということでやっているのですが、そうでないといつまでたってもオーストラリアやノルウェーを超えられないということになってしまう。ローストする時間や火の入れ方も全然違うのですが、いろいろなことをして研究しながら、新しい焙煎方法を見つけているので、他のお店とは少しやりかたが違う。そうしないと先に進めない。
日本で海外から注目されている店もあるので、海外から焙煎や抽出について聞かれるというクオリティーまでは来ていると思います。でも、まだ日本から海外に聞きにいっているということが多い気がしているので、日本の美味しいコーヒーがもっと広まるようにしたいですね。
海外のいろいろなところに焙煎を見にいったりするのですが、やはり日本人は細かいですよね。海外は大雑把なことも多いので、日本人だからこそできることもたくさんある気がしています。激浅煎りにしているということもそういったことが背景にあるかもしれません。今は焙煎でポテンシャルをつくって、抽出で化学反応を起こさせる。結果的に一般の消費者の方からみたら、Glitchの豆は非常にやりずらいかもしれません。笑
Glitchという名前はバグみたいな意味があるのですが、変なことや失敗をしながらも新しい発見をして吸収していこうという考え方が元になっています。自分が一番だっていうお山の大将の考え方ではいけないし、そうなってしまうのが怖いという危機感は持つようにしています。日々みんなで話し合いながら進化していきたいですね。

鈴木さんにとってコーヒーってなんでしょうか?

いつも聞かれるけど難しいですね。苦笑
ポールがいつも「人生をかけた旅」って言っていましたね。そればっかり頭に思い浮かぶし、そのとおりだと思うんですよね。一粒のコーヒー豆がどういう作られ方をして、運ばれて、焙煎されて、その旅の過程を最後に表現できるのがバリスタっていう職業なのですが、抽出だけでなく全部の過程を極めたい僕にとって、コーヒーは自分の人生をかけた旅になっていると思います。
今、価値のある一杯を提供するっていうことをやっています。自分の人生でどれだけいいコーヒーやバリスタをつくれるかっていうこともそうなのですが、衝撃を受けるようなコーヒーを知らない人に飲んでほしい。100円のコーヒーを飲んでいる人もたくさんいると思うけれど、300円でもっと価値のあるコーヒーもたくさんあると思う。それを飲んでほしいと強く思います。
その旅の過程にはそれだけの手が加わっていて、例えば標高の高いところで栽培をしなきゃいけなかったりします。一人の生産者が40キロくらいのコーヒーを背負って帰ってきて、その数パーセントだけがスペシャリティーコーヒーと呼ばれるものになる。その豆を僕らが提供して美味しくないと思われてしまったら、もうその豆は買ってもらえなくなるかもしれない。そうなると農園の人がお金をもらえなくなったり、農園の情熱や暮らし自体がおかしくなってしまいますよね。だから、人生をかけていいコーヒーを提供していきたいと思っています。命を刻むものが見つかったという感じですね。

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